東京農大 生物的防除部会幹事
厚井 隆志

ハナカメムシの産卵状況


果菜類の難防除害虫であるアザミウマの防除は化学薬剤と共に天敵による防除技術が普及しいる。筆者は2002年から10数年にわたりタイリクヒメハナカメムシの現地普及に携わってきた。現地で試験・調査をしている中でハナカメムシの産卵場所について観察したので概要を報告する。大型のカメムシ類の卵は葉上に卵塊として産卵されるが、ハナカメムシの仲間は作物の柔らかい茎や葉の葉脈に紡錘形をした卵を1卵づつ組織内に産み付ける。従って、産卵されている状態は白い輪のように見える。孵化するとポリ容器のキャップを開いたように、丸い蓋を開いたように見られる。以下、各種作物に産卵されている状況を示す。

⒈ ナス葉に産卵(埼玉県春日部市) 写真-1、2
  ナスの若葉の葉脈に産卵されている
 

⒉ キュウリ葉柄に産卵(埼玉県春日部市) 写真-3,4  
  キュウリの若葉の葉柄に産卵されいる
 

3. シシトウの新梢に産卵されている(千葉県東庄町)写真-5,6  
  シシトウの新梢の2節~3節に産卵、孵化し幼虫の脱出した跡の状況
 

4. 豆の下杯軸に産卵(試料 住化テクノサービス㈱提供)写真-7  
  豆の下杯軸の組織内に産下されたタイリクヒメハナカメムシの卵が透けて見えている


5. カランコエに産卵(試料 アリスタライフサイエンス㈱提供)写真-8,9  
  カランコエの新梢に産下されたタイリクヒメハナカメムの卵と幼虫
 

6. アザミウマの天敵のカメムシ類の成虫 写真-10,11,12  
  カメムシ類は口針があるのが特徴。成虫は高知県安芸市で採取した。
  

 (写真原図:厚井隆志)